「明日から数日、来なくて大丈夫です」と派遣先から言われると、給料が減るのか、欠勤扱いになるのか不安になります。次の契約に響かないかと思うと、担当者にも聞きにくいものです。
ただ、派遣先の都合で勤務がなくなっても、一律に無給と決まるわけではありません。派遣元との雇用が続くか、どの日が休業なのか、賃金をどう扱うかを分けて確認します。
この記事では、派遣元への連絡、休業手当の対象日、「平均賃金の60%」の意味、明細と相談先の見方を整理します。自分の契約と勤務予定を手元に置くと、何を質問すればよいかが見えてきます。
派遣先から休むよう言われたら、まず派遣元へ確認する
派遣先は日々の仕事を指示する場所ですが、雇用契約を結んでいる相手は派遣元です。現場からの連絡だけで雇用や給与の扱いを判断せず、契約と給与を管理する派遣元へつなぎましょう。最初は、契約期間と取り消された勤務日を分けるところからで十分です。

派遣先の休業と、派遣元との雇用終了を分ける
今の現場が止まっただけで、派遣元との雇用が自動的に終わるわけではありません。派遣元と派遣先の企業間の契約と、あなたが派遣元と結んだ労働契約は別だからです。
たとえば、雇用契約は月末まであるのに、工場の仕事が15日で止まる場合を考えてみてください。現場で最後に働く日が15日でも、雇用契約の満了日まで同じ日になったとは限りません。「次の現場がない」「いったん待機」という説明でも、雇用が続く期間を確認する必要があります。
有期契約の途中では、派遣先との契約が解除されたことが、そのまま解雇のやむを得ない理由になるものではないと厚生労働省は示しています。無期で働いている場合も、現場の停止と雇用終了をひとまとめにしないでください。
契約書の派遣元名と期間を見て、「現場の最終日」と「雇用契約の満了日」を別々にメモしましょう。雇用終了も伝えられたなら、その理由と日付を改めて尋ねます。
予定勤務日・理由・連絡した人を残す
「自宅待機」「休み」という呼び方より、誰が、どの勤務を、どんな理由で取り消したかを残すと、後の説明を照合しやすくなります。以下は記録の一例です。
| 記録すること | 書き方の例 |
|---|---|
| 元の勤務予定 | 水曜から金曜、各9時〜17時 |
| 連絡 | 火曜15時、派遣先の担当者から電話 |
| 理由と指示 | 受注減のため3日間は出勤不要 |
| 未確認事項 | 勤怠区分、賃金、翌週の再開予定 |
自分のシフトや変更メールは、会社のルールに沿って控えを残します。顧客情報や業務上の秘密まで持ち出す必要はありません。電話だった場合は、話した日時と相手、理由、再連絡の予定を書き留めます。
一日休む指示だったのか、出勤後に早く帰る指示だったのかも区別してください。自分が休みを希望した日があれば、その日とは分けて整理します。記録が足りなくても、問い合わせを先延ばしにする必要はありません。
勤怠・賃金・再開予定を派遣元にまとめて聞く
派遣元には、「休みの期間をどう記録し、いくらをいつ支払い、次の指示を誰が出すのか」をまとめて聞きます。営業担当が金額を答えられない場合は、給与担当への確認を依頼できます。
- 出勤不要となる期間と、勤怠の入力区分
- 休業中の賃金・手当の扱いと、その根拠
- 支払予定日と、説明を受けられる時期
- 再開の連絡方法、別の仕事や研修の予定
休業手当の責任を判断する相手は、雇用主である派遣元です。「派遣先に聞いてください」と言われた場合も、現場の予定と派遣元の給与上の説明は分けて求めましょう。
「自宅待機中にオンライン研修を受ける」「決まった時間に作業する」などの指示があれば、時間と内容を記録します。待機という名前だけで、実際の研修や作業が消えるわけではありません。ただし、電話を受けられるようにするだけで一日すべてが労働時間になる、とも一律には言えません。拘束の実態を伝えて扱いを確認します。
ぶる太郎の見解
給与の質問をするとき、最初から法律用語で説明しようとしなくても大丈夫です。私なら「契約はいつまで」「休む日はいつ」「給与は誰が回答するか」の三つに分けます。答えの出ていない欄が分かれば、次に聞く相手も決めやすくなります。
休業手当は、休みの理由と対象日を分けて確認する
休業手当は、会社が休ませた日なら何でも同じ扱いになる制度ではありません。使用者側の事情か、もともと働く日だったかを分けて確認します。自分だけで無給とも支給対象とも決めず、派遣元の判断理由を聞いてください。

受注減や仕事の不足なら、無給と決めつけない
受注減など使用者側の事情で休業させる場合、労働基準法には平均賃金の60%以上を支払う最低基準があります。資材が集まらない、機械が故障して作業できないといった経営上の事情も、代表的な例です。
派遣契約の中途解除で派遣労働者を休ませる場合も、一般には使用者側の事情による休業に当たるとされています。派遣先が派遣元へ払う費用の問題と、派遣元があなたへ支払う賃金の問題は、同じではありません。
仮に、決まっていた3日分の仕事が受注減でなくなり、「派遣先から入金がないので無給です」と説明されたら、その一言だけで判断せず、派遣元がどんな根拠で扱いを決めたかを尋ねましょう。
一方、登録しているだけで雇用契約のない期間まで、いつでも手当が出るわけではありません。50代だから、派遣だから、という属性だけで対象外と考える必要はなく、契約と休業の事情を確認する話です。
所定休日と、一部だけ休んだ日を混ぜない
もともとの休日と、働く予定を会社が取り消した日は分けます。契約上の休日には休業手当を支給する必要がないため、会社が止まった期間のすべての日数が、そのまま支給対象になるとは限りません。
月曜から金曜まで働く契約なら、予定勤務だった水曜と、もともと休みの土曜は別です。不定期シフトの場合は、すでに確定していた勤務や、契約で決めた勤務日数がどうなっていたかも確認します。シフトが出る前の取消など判断が難しいときは、契約書と連絡記録を持って相談できます。
一日の途中で帰るよう言われた場合には、その日の実働分の賃金が平均賃金の60%に届かないとき、差額を休業手当として支払う考え方があります。
説明用の仮例として、その日の最低基準が4,200円、実働分の賃金が3,000円なら、差額は1,200円です。「半日休んだから半日分の60%を追加」と決めるのではなく、一日全体で確認します。実際の額には規程なども関わるため、勤怠と計算書を日付ごとに並べて見てください。
災害や停電でも、派遣先の事情だけで結論を出さない
災害や停電という理由だけで、必ず無給とも必ず支給とも決まりません。不可抗力かどうかは具体的な事情を踏まえて判断され、派遣労働者の休業では派遣元について検討されます。
厚生労働省の派遣労働者向けQ&Aでは、派遣先が不可抗力で操業できない場合でも、派遣元がほかの事業場へ派遣できる可能性などを含めて判断すると説明しています。派遣先の直接雇用の人が無給だった、という情報だけであなたの結論までは出せません。
たとえば設備が止まり、派遣元が別の現場を調整しているなら、その検討状況と休業中の扱いを聞きます。自分の利用する交通機関が止まって出勤できない場合も、会社から出勤不要を指示された場合と分けて伝えてください。
理由が分からないまま不支給と言われたときは、指示の記録と派遣元の回答をそろえ、労働基準監督署などへ相談します。過去の災害時の助成制度を、そのまま現在の自分の給付と考えないことも必要です。
「給料の6割」と思い込まず、計算と支払日を見る
休業手当の基準になるのは、通常の時給や手取り額ではなく「平均賃金」です。平均賃金を求める段階と、その額から休業手当を考える段階を分けると整理できます。以下の金額は仕組みを示す仮例で、あなたの支給額を示すものではありません。

基準は通常の時給や手取りではなく、平均賃金
平均賃金は原則として、算定の対象となる過去3か月の賃金総額を、その期間の暦日数で割って求めます。賃金締切日がある場合は、直前の締切日からさかのぼる期間を確認します。
暦日数は、働いた日だけを数えた出勤日数とは違います。たとえば、対象となる賃金が54万円、暦日数が90日なら、54万円÷90日=6,000円です。ここでは生活する一日あたりの額を考えているので、時給に予定勤務時間を掛けた一日分の給料とは一致しないことがあります。
賃金総額には通勤手当なども含みますが、臨時に払われた賃金や、3か月を超える期間ごとの賃金など、含めないものもあります。給与の振込額をそのまま足す方法では、控除や対象外の項目を混ぜてしまいます。
また、時給制には最低保障の比較があり、上の6,000円だけで確定とは限りません。派遣元には「対象の締切日・期間」「賃金の項目」「割った日数」を聞き、直近の給与明細と勤怠を手元に置いて説明を受けましょう。
時給制・日給制では、平均賃金の最低保障も確認する
時給制や日給制では、暦日数で割る額だけでなく、実際に働いた日数を使う最低保障の額も比べる場合があります。勤務日が少ない人ほど、この確認を飛ばさないでください。
ここでは全額時給制で、計算から除く期間や特例がない単純化した仮例を使います。対象3か月の賃金54万円、暦日数90日、実際に働いた日数45日とします。
| 計算の段階 | 仮例の算式 | 金額 |
|---|---|---|
| 暦日数で割った額 | 54万円÷90日 | 6,000円 |
| 時給制の最低保障額 | 54万円÷45日×60% | 7,200円 |
| 比較して用いる平均賃金 | 上の二つの高い方 | 7,200円 |
| 休業手当の最低日額例 | 7,200円×60% | 4,320円 |
この条件で所定労働日3日を全日休業した場合の最低額の例は、4,320円×3日=12,960円です。
表に二度出る60%は、役割が違います。一つ目は平均賃金の最低保障を計算するため、二つ目はその平均賃金から休業手当の最低額を求めるためです。「時給の36%がもらえる」と一般化する計算ではありません。
入社から3か月未満、月給部分が混在する場合、過去の休業などで算定から除く期間がある場合には、別の確認が必要です。自分で表に数字を入れて確定させるより、派遣元へ「最低保障との比較もした計算ですか」と質問する材料にしてください。
60%は最低基準で、契約の支給条件と支払日も確かめる
平均賃金の60%は法の最低基準であり、必ずそこで打ち止めになるという意味ではありません。就業規則や労働協約などに、より高い保障を定めている場合もあります。逆に、6割を払えば契約上の問題がすべて解決する、とも言い切れません。
法定の最低保障と、契約などに基づく賃金の請求は同じ話ではないためです。満額の請求を含めて説明が食い違うときは、自分だけで結論を出さず、根拠となる規程と計算書を求めます。
休業手当は賃金として、休業した期間に対応する所定の支払日に支払われる扱いです。支給額だけでなく、いつの給与へ載るかを確認してください。
明細が出たら、休業の対象日数、一日あたりの額、同じ日に働いた分、支給欄と控除欄を分けて見ます。3日休んだのに2日分になっていたら、単なる計算間違いと決めず、どの日を除いたのか尋ねましょう。税金や社会保険料などを引いた後の手取りを、平均賃金の60%と直接比べないようにします。
説明が曖昧なときは、記録をそろえて相談する
問い合わせでは、法律違反かどうかの言い合いより、対象日と未確認の項目をそろえる方が話を進めやすくなります。まず派遣元へ照会し、回答も保存します。申請や署名を求められた場合は、何に同意するのかを先に確かめてください。

勤務予定・休業指示・賃金を一つの照会文にまとめる
休業の日付、指示された内容、給与について知りたいことを一通にまとめると、営業担当と給与担当で前提を共有しやすくなります。以下は編集上の文例です。自分の事実に合うように直して使えます。
「勤務予定だった○月○日〜○日について、受注減のため出勤不要と伺いました。この期間は勤務する予定で、働ける状態です。雇用契約が継続することと、勤怠の入力区分をご確認いただけますでしょうか。休業中の賃金・手当について、支給の根拠、対象日数、計算方法、支払予定日も教えてください。勤務再開や別の業務の予定、次の連絡方法についても確認をお願いします。回答をいただける時期をご案内いただけると助かります。」
自分から休みを申し出た日や、働けない事情がある場合は、事実に合わせて書き換えてください。回答期限を勝手に法定の日数として示す必要はなく、いつ返事をもらえるかを尋ねます。
口頭で回答されたら、聞いた日と担当者、回答内容をメモします。金額や対象日が曖昧なら「この理解で合っていますか」と短い確認を送り、未回答の項目を残しておくと次の相談にも使えます。
有休や自己都合の休みにする前に、扱いを確認する
会社から休むよう言われた日と、自分が希望した欠勤は区別して記録します。「欠勤申請を出してください」と求められても、事実と合わないと感じたら、勤務予定だったことを伝えて説明を求めましょう。
有休を本人の意思で使うことと、会社が一方的に取得を強いることも別です。自分が利用を希望する場合でも、その日の賃金、残日数、申請後の変更や取消しの扱いを確認してから決められます。
なお、労使協定による計画的な年休の付与や、法定の年5日の取得に関する時季指定などは別の仕組みです。「会社が指定した有休はすべて同じ」とせず、どの制度に基づく説明かを聞いてください。
休業の連絡と一緒に退職届や新しい条件の書面を渡された場合も、日付や内容を読まずに署名しないことです。理解できない点は持ち帰って確認し、必要なら公的窓口へ相談します。説明に納得できないからと自己判断で就業を拒むのではなく、勤務指示の確認は続けておきましょう。
未払い・理由の食い違いは、資料を持って公的窓口へ
支払日を過ぎても手当が見当たらない、休業理由の説明が変わるなど、派遣元への照会だけでは分からないときは公的窓口を利用できます。相談内容に合わせて窓口を選びます。
| 窓口 | 相談する内容の目安 |
|---|---|
| 労働基準監督署 | 休業手当の未払いなど、賃金に関する法令違反の疑い |
| 総合労働相談コーナー | 契約変更や雇用終了など幅広い問題、相談先が分からない場合 |
| 労働条件相談ほっとライン | 平日夜間や休日の制度説明、助言、関係機関の紹介 |
ほっとラインは無料・匿名でも利用できますが、事業場への指導を行う窓口ではありません。利用できる時間や地域の窓口は、厚生労働省の公式案内で確認できます。
相談時には、契約書、勤務予定表、休業の指示、給与明細、派遣元への質問と回答を用意します。すべてそろわなくても、分かる日付と足りない資料をメモして相談できます。会社への提出が必要な原本まで手放さず、自分の控えも残してください。
「休業なのか雇用終了なのかも分からない」という段階でも、そのまま伝えて構いません。相談だけで必ず支払われるとは限りませんが、何を確認し、どこへつなぐべきかを整理する助けになります。
まとめ|休業の日付と賃金の扱いを、派遣元へ確認しよう

派遣先から急に休むよう言われたら、雇用契約の継続、休業の対象日、賃金の扱いを分けて派遣元へ確認します。平均賃金の60%という基準も、時給や手取りの単純な6割ではありません。
確認する順番は、次のように絞れます。
- 契約期間と元の勤務予定を並べる
- 休業の理由・勤怠区分・再開予定を聞く
- 計算根拠・対象日数・支払日を確認する
- 食い違いが残れば記録を持って公的窓口へ相談する
ぶる太郎の見解
休みが増えると、次の仕事探しまで一度に考えたくなります。私なら今日の確認を、契約書と予定表の二つに絞ります。年齢のせいと受け止める前に、取り消された日を一つずつ確かめる方が、収入の見通しを立てる材料になります。
今日できる最初の行動は、休むよう言われた日と元の勤務予定をメモし、派遣元へ一通問い合わせることです。曖昧な点を残さず、回答も一緒に保管しておきましょう。
休業手当についてよくある質問
派遣会社に登録しているだけの期間も、休業手当をもらえますか?
登録しているだけでは、雇用契約や勤務予定があるとは限りません。雇用契約のない期間と、雇用中に会社が勤務予定を取り消した期間は別です。契約書で雇用の有無と期間を確認し、分からなければ派遣元へ説明を求めてください。
派遣先から別の職場を提案され、断ると休業手当はなくなりますか?
断れば必ず不支給になるとも、必ず支給されるとも言えません。契約上の範囲、提案された仕事・勤務地・時間、働けない理由、休業の経緯を整理する必要があります。提案の記録を残し、派遣元や公的窓口へ個別の事情を伝えて相談してください。
